Column理想的なlife「人生の意味」を芸術・アートに触れながら、ゆっくりと考えてみる、という時間の使い方。~『展覧会 岡本太郎』を❝お一人さま❞鑑賞~

「人生の意味」を芸術・アートに触れながら、ゆっくりと考えてみる、という時間の使い方。~『展覧会 岡本太郎』を❝お一人さま❞鑑賞~

知識が乏しくとも「作品」と「作品名」から、作者が伝えたかったこと、を考えることで人生が豊かに思えることも。

❝お一人さま❞のイベント

40代で独身の私には、あり余るほど休日の自由な時間があります。
同世代は、おそらく子育てや子どもを紐帯とする様々な活動への参加、両親やパートナーとの時間に休日を充てていることでしょう。

誰とも休日の❝約束❞のない私は、❝お一人さま❞のイベントをいつも考えています。
私の❝お一人さま❞のイベントは、
40代の私が一人で訪問しても違和感がない場所であることを大切にしています。

❝お一人さま❞の私が違和感なく楽しめる場所は、
芸術・アート、歴史・文化に彩られている場所であることが多いです。
知的で、文化的な場所に一人で訪れても「寂しい人」とは思われず、
むしろ芸術や文化に「造詣がある人」と見られるのではないかと私は思っています。

本当は、どんな場所に一人でいても、誰も「私」のことなど気にも留めていないのでしょうけど…。

『展覧会 岡本太郎』

さて、今回の❝お一人さま❞のイベントは、
東京都美術館で開催されています『展覧会 岡本太郎』を鑑賞することに。


岡本太郎といえば、
1970年に大阪で開催されました「日本万国博覧会」において、人間の尊厳と無限の進歩、発展を表現した高さ70メートルもの大きさの作品、「太陽の塔」の作者として有名です。

「太陽の塔」は1970年の大阪万博のために創られ、万博閉幕後は「太陽の塔」の外観のみが観れる状態でしたが、「太陽の塔内部再生」事業によって、2018年に「生命の樹」や「地底の太陽」などを復元した上で、一般公開されているようです。
私もいつか「太陽の塔」の内部を観たいと思っています。

岡本太郎といえば「太陽の塔」と、芸術に詳しくない私でも言える程、
とても強いインパクトを今でも与え続けている「太陽の塔」ですが、
この巨大な作品は「人間の尊厳と無限の進歩、発展」を表現しており、
作品の頂部の金色の顔は、未来を象徴する「黄金の顔」、
作品の正面に据えられいる顔は、現在を象徴する「太陽の顔」、
作品の背面に描かれている顔は、過去を象徴する「黒い太陽」、
という3つの顔を持ち、
過去・現在・未来を貫いて再生する万物のエネルギーの象徴であると同時に、
生命の中心、祭りの中心を示したもの、
とのことです。

私の❝お一人さま❞人生の愉しみ方

30代まではほぼ引きこもり状態で、休日のほとんどを一人アパートで過ごす日々でしたが、
40歳になり、「とにかく」前向きに外の世界に踏み出してみることにしました。
40代から一人でも楽しく出かけられる場所は…、と考えた時に、
はじめに思いついたのが、美術館でした。
10年ほど外出することすらほとんどなかった私が、まずはじめに「冒険」してみたのが、
アート・芸術の島「ベネッセアートサイト直島」への一人旅でした。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「40代一人孤独にアパート生活、せめて『知的で文化的』な生き方で「ありたい」と。」)

私の❝お一人さま❞のイベントのはじまりは、
「とにかく外に出てみる」からスタートしておりまして、
芸術やアートの素晴らしさを考えるのは、
「行動した後」に付いてくるものでした。
行動に移す前に、いろいろ考え過ぎて、
「行動しなくなる」ことが、❝引きこもり❞の私にとって最も厄介なことだったのです。

孤独で寂しい人生から、
人生に意義を与えるために、一人で「動いてみる」。
動いた後で、振り返る。
このことを今でも実践しています。
「振り返り」の場所が、このサイトとなっています。

芸術家「岡本太郎」とは

東京都美術館で10月18日から開催されています『展覧会 岡本太郎』、
事前予約が必要とのことなので、事前にネットで済ませ、いざ会場へ。
既に多くの人がロビーで予約時間を待っています。
岡本太郎の人気が窺えます。

『展覧会 岡本太郎』の公式ホームページによれば、

絵画、立体、パブリックアートから生活用品まで、強烈なインパクトのある作品を次々と生み出し、日本万国博覧会(大阪万博)の核となる「太陽の塔」をプロデュースし、晩年は「芸術は爆発だ!」の流行語とともにお茶の間の人気者にもなった岡本太郎。
彼は、戦後日本の芸術家としてもっとも高い人気と知名度を誇るひとりでありながら、あまりに多岐にわたる仕事ぶりから、その全貌を捉えることが難しい存在でもありました。「何が本職なのか?」と聞かれ、彼はこう答えます。「人間――全存在として猛烈に生きる人間」。

『展覧会 岡本太郎」公式ホームページより

と、岡本太郎は、自身の本職は「人間」「猛烈に生きる人間」と考えていたようです。

本職は「人間」。
人生の意味とは何か、働く意味とは何か、の答えを追い求めておりました私にとって、
本職は「人間」と答えるに至った岡本太郎の人生に、そして作品に興味が沸いてきます。

『展覧会』会場へ

会場に入りますと、直ぐに❝お出迎え❞してくれる作品が、
「若い夢」です。
にっこり笑った作品です。

この芸術作品に込められた深い意味や背景は、正直よく分かりませんが、
岡本太郎が、にっこり笑った像に「若い夢」と命名した「意味」を自分なりに考えてみることで、
ほんの少し人生が豊かになった気がします。



そして、岡本太郎が考える「愛」の形がこの作品のようです。
なるほど。



「挑み」を表現したのが、この作品でした。
確かに「挑み」の力強さを感じます。



大阪万博のために創られたのが「太陽の塔」で、
愛知県のモンキーパーク内にシンボルとして創られたのが「若い太陽の塔」のようです。
実際の作品は26メートルあるそうです。
「太陽の塔」と同じく製作から50年余り経った現在でも愛知県犬山市で観ることができるようです。



この展覧会で最も印象的だった作品が「明日の神話」です。
この作品のオリジナルは1968年、メキシコオリンピックのために建築されていたホテルのオーナーからの依頼で、メキシコシティで制作されたものの、サインを入れて引き渡す前にホテルの運営会社が破産してしまったことで、2003年まで行方不明になっていたものを、2005年に日本に移送されたそうです。
現在は、渋谷駅の連絡通路に展示されており、いつでも観ることができます。
展覧会では、幅11メートルの下絵が展示されています。


「明日の神話」は、原爆が炸裂する悲劇の瞬間を描いたもの。
「人は残酷な惨劇さえも誇らかに乗り越えることができる、そしてその先にこそ『明日の神話』が生まれるのだ」というメッセージが込められているそうです。
この絵の前で、気がつけば長い時間思考を巡らせていました。

「惨劇さえも乗り越えることができる。その先にこそ『明日の神話』が生まれる」。
このメッセージを、この圧倒的な迫力を漂わせている作品から読み解こうとしていました。

展覧会の最後には「午後の日」が展示されています。
展覧会の❝お出迎え❞の作品が「若い夢」、そして最後が「午後の日」、
この展示の仕方にも深い意味があるのでしょう。



帰路にはかわいい「太陽の塔」が飾られています。
(展示室に飾られておりました「太陽の塔」は沢山の人が鑑賞されており、鑑賞の邪魔にならないように写真撮影は控えました。)


芸術・アートのことはよく分からなくとも、
作者が作品に込めたメッセージを感じとろうとすることで、
少し人生が豊かになった気がします。
「作品」を観ると伴に、「作品名」を確認することで、美術館に赴く楽しさが増えるような気がします。

「展覧会 岡本太郎」、2022年12月28日まで開かれています。

東京都美術館

東京都台東区上野公園8-36


渋谷駅渋谷マークシティ「明日の神話」

東京都渋谷区道玄坂1-12-12 2階連絡通路 渋谷マークシティ


【文中の引用・参考文献】
・『東京都美術館』ホームページ
・『展覧会 岡本太郎』公式ホームページ
・『太陽の塔オフィシャルサイト』万博記念公園

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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