Column理想的なlife「独身おじさん友だちいない問題」、40代で「友だち」はできなくとも、せめて「仲間」と呼べる存在は欲しいもの。

「独身おじさん友だちいない問題」、40代で「友だち」はできなくとも、せめて「仲間」と呼べる存在は欲しいもの。

「仲間」と呼べる人間関係を築くには、「共通項」が必要なのかもしれません。

「悩みごとを相談できるような友人の数」

とある調査によりますと、「悩みごとを相談できるような友人の数」を尋ねたところ、
男性の32%、女性の13%が「友人はいない」と答えたそうです。
さらに年代別に「友人はいない」と回答した割合を見てみますと、
男性の30代は14%、40代は23%、50代は37%、60代は36%と年代が上がる程、
「悩みごとを相談できるような友人はいない」人の割合が高まることが分かりました。

ちなみに、女性では30代は2%、40代は8%、50代は9%、60代は19%と、
60代になるまでは「友人はいない」人の割合は1割程度にとどまっていることが分かりました。

この調査報告では、既婚者または独身者というカテゴリーで分析をしていないため、
一時注目を集めました「独身おじさん友だちいない問題」を明らかにするものではありませんが、
女性に比べて、男性の中高年層は「悩みごとを相談できるような友人はいない」割合が高い傾向が示されていると思われます。

「友だちはいない」割合が、年代が上がるほど高まることは、
社会人になってから「悩みごとを相談ができるような」❝対等❞な関係の「友人」をつくることが、
難しくなることを示唆しているのではないでしょうか。

社会人になってからは「友人」よりも「仲間」と呼べる人間関係が多くなる。

社会人なってからの人間関係においては、
「友人」というよりも、むしろ、
「仲間」と呼ぶことがふさわしい密度の濃い人間関係を築いていくものなのかもしれません。

同期入社の「仲間」、
仕事をともにした「仲間」、
子どもと同じ世代の子育て「仲間」、
趣味の「仲間」など、
社会人になった後は「友人」というよりは、
「仲間」と呼ぶ人間関係が広がっていくのでしょう。

私は40代独身で「友だち」はいません。
そして、最近まで「仲間」と呼べる方々もいませんでした。
(友だちがいなくなった理由についてはここに書かせて頂きました。「『独身おじさん友だちいない問題』、私は友だちの『幸せ』を素直に喜んであげられなかったことで『友だちがいなく』なりました。」)

「職業」「仕事」を中心にした人間関係の広がりの中で。

社会人となった後の人間関係の広がりは、どうしても「職業」「仕事」を中心に進むことが多いと思われます。
学校を卒業して、4月に入社した「同期」との関係や、
配属先の「先輩」「上司」との関係にはじまり、
仕事で出会う「他社の社員」との関係といったように、
人間関係が経験年数とともに広がっていくのだと思います。

大学を卒業して直ぐ非正規の派遣社員として働き出した私には、
「同期」もおらず、「先輩」との関係は短期間で終わる希薄なもので、
派遣元の「上司」は職場におらず、
他社の社員とは仕事上関わるはなく、
社会人になった後は、ほとんど誰とも人間関係を築くことはありませんでした。

私が働き出してからずっと「後ろ向き」な気持ちで職場に向かっていたことが、
職場で「孤立」していた最大の原因だったと今ならいえます。
やる気もなく、元気もない派遣社員に、進んで声を掛けたいと思う社員はおりません。
いつも暗い顔をしている人の周りには、誰も近づきたいとは思いません。

職場でいつも感じていた孤独の原因をつくっていたのは、
私自身の仕事や働き方に対する「後ろ向き」な姿勢だったのです。

自分が職場での孤独感の最大の原因をつくっていたことは間違いがないのですが、
私の人間関係が広がらなかった理由をもう少しだけ考えてみますと、
社会人の人間関係には多少の「損得勘定」も含まれると思われます。

「同期」と仲良くすることで、社内外の重要な「情報」が入ることが多くなるかもしれませんし、
社内でも一目置かれている「先輩」や「上司」と仲良くすることで、自身の将来的な社内での❝立ち位置❞も変わってくるかもしれません。
仕事をともにする「社外の社員」は、双方にとって「メリット」があるから仲良くする可能性もあるのかもしれません。

社会人、とくに会社の従業員同士の人間関係には、
学生時代のような単純な「気が合う」という側面だけでなく、
多少なりともキャリア形成上の「メリット」の側面が隠されているように思われます。

キャリア形成上の「メリット」の側面から人間関係を考えてみますと、
非正規の派遣社員の私には、
私と親しくすることでキャリア形成上の「メリット」をほとんど提供できない人、
だったように思います。
私は40歳になるまで「仲間」と呼べる人間関係を築くことはできませんでした。

そんな私ですが、
「カウンセリング」を自らの意志で学び始めたことで、
40代になりようやく「仲間」と呼べる「共通の」知識・技術を学んだ人たちとの人間関係を築くことができました。
大人になってからの人間関係には「共通項」が必要で、その「共通項」は、自ら作り出す必要があることを、孤立と孤独な経験を経て、ようやく気がつくことができました。


【文中の引用・参考文献】
・「友人関係が希薄な中高年男性―調査からみえる日本人の人間関係」村田ひろ子(2018)

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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