Column理想的なwork仕事の「モチベーションが上がる」心理学的解説を聞いて私が思うこと。 ~心理学は大切ですが、心理学だけでは変えられない現実も。

仕事の「モチベーションが上がる」心理学的解説を聞いて私が思うこと。 ~心理学は大切ですが、心理学だけでは変えられない現実も。

ものごとの❝理屈❞が分かっても、実現する手段を持たない私の悩み。

生活のために働いていますが、働いて「なぜ生活をしているのか」の答えに迷う私

40代で一人暮らし独身の私は、自分が生活するために必要なお金を得るために、非正規社員として働いています。
非正規社員であっても、月曜日から金曜日までフルタイムで働くことで、アパートで一人質素に生活するだけのお金は得ることができています。
私の働く目的は「自分一人の生活費を得るため」です。

では、生活費を得て「生活する意義はどこに求めれば良いのでしょうか」と悩むこともあります。

結婚して家族がいる訳ではありませんので、
「家族のために生きる」は私にはあてはまりません。

特定の「趣味」があり、
家族はいなくても、自分の好きな「趣味」に目一杯時間を使うと生き方もあるのかもしれませんが、
私には多くの時間を費やせる「趣味」はありません。
自分の好きな「趣味に生きる」ということもできません。

友だちと毎週のように出掛けたり、遊んだりして、
学生時代と変わらず、「遊び」を楽しむという方もおられると思いますが、
私には友だちがおりません。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「『独身おじさん友だちいない問題』、私は友だちの『幸せ』を素直に喜んであげられなかったことで『友だちがいなく』なりました。」)

同世代の40代は「家族」や「趣味」や「友だち」「遊び」といった、
さまざまな「生活する意味」を持っているのだと思いますが、
私には「生活する意味」があまり見出せません。

何となく「生きるため」「生活するため」に、
月曜日から金曜日まで「働いている」という現状です。

「仕事」が楽しく、モチベーションが上がる、心理学的解説。

私は「生活するため」に「働いている」と捉えております「仕事」ですが、
やはり同世代の40代の方の中には、
「仕事」を「生きがい」とされておられる方もいるようです。

「仕事」が「生きがい」と捉えられている方は、
「仕事」は「生活をするため」というよりも、
「仕事」そのものが意義深く「楽しい」もののようです。

「仕事」そのものが「楽しい」と思われている方の「モチベーション」について解説されておりました心理学者のお話では、
仕事で「モチベーション」が上がるという状況は、
①自ら目標を設定し、
②その目標を達成する方法を自ら決めて、
③実際に行動し、
④自らの力で目標を達成し、
⑤目標を達成したことを適切に評価される、
ことで「モチベーション」が上がるそうです。

心理学者の方の解説で強調されておりましたのが、
「モチベーション」を向上、維持させるのに重要なものは、
「自律性」とのことでした。

「自律性」とは、先程の解説の中の言葉によりますと、
「自分で」目標を設定できること、
目標達成のやり方も「自分で」決めることができること、
(当然ですが)「自分で」行動できること、
と「自分で」ということがキーになるようです。

モチベーション、やりがいに大切なことは「自律性」とのことです。

「仕事」が「楽しい」という方を想像してみますと、
確かに、誰から指示される訳でもなく、
「自分で」決めて、「自分で」行動しているアクティブな印象があります。

「自分で」クライアントを探して、
「自分で」アポイントを取り、
「自分で」クライアントのための提案を作成し、
「自分で」契約を取ってきて、
それが社内でも大きく「評価」されるような「仕事」であれば、
確かに、「やりがい」があり「モチベーション」が上がりそうです。

「自分で」決めることができる「仕事」は、
誰かに「やらされている」訳ではないようなので、
「仕事」が自分の「人生の意義」ともなり得るのかもしれません。

「自律性」とは無縁の私に「与えられた」仕事

ここにきて私の非正規社員としての仕事は、
細かく決められたルールの下、ミスなくこなすことが第一に求められます。
私の仕事には、私の考えや創意工夫は少しも求められておりません。
私は誰かが決められたルールの下で、淡々と「作業」をこなす役割を担っているといえます。

私の仕事には、
「私が」決められることは、何一つありません。
私にはほんの少しも「自律性」がありません。

とある心理学者の方の解説に従えば、
私には「自分で」決められること、「自分で」行動できることが「ない」ので、
モチベーションが上がらない、「やりがい」を持てない、とも言えるかもしれません。

「仕事」に対して「やりがい」を持てないことで、
「家族」もおらず、趣味もなく、友だちもいない私は、
「生活をするため」だけに月曜日から金曜日まで「仕事」をしている、
という捉え方しかできないのだと思います。

心理学的「理屈」は理解できても、自分の置かれている境遇では実現できない悲しい現実

私もできることであれば「やりがい」のある仕事、
モチベーションが上がる仕事をしたいと思ってはおりますが、
「自分で」決めることができ、「自律性」の高い「仕事」を、
会社が「与えて」くれなければ、私の「自律性」を発揮することはできません。

心理学的に「モチベーション」が上がる理由は分かったとしても、
会社の人事労務管理的に、それを「与えて」くれなければ、
従業員の「モチベーション」は高まりません。

非正規社員の私には、❝理屈❞が分かったところで、
「自分の」努力では、「自律性」を発揮することができない、悩ましい環境に置かれていることを、
悲しいほど理解しました。

「仕事」において、ほんの少しも「自律性」を持たされていない私は、
「何のために働くのか」の答えは「生活のため」、
では「何のために生活するのか」の答えは見出せないままです。

現実は切ないものです。


【文中の参考・引用文献】
・「人を伸ばす力」エドワード・L・デシ 桜井茂男訳(2011)

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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