進学をきっかけに地方から大都市に「転入」してきました。
私は大学進学のために地元を離れ、大都市に出てきました。
進学に際しては、地元を離れたかった、というよりは、私の学力で入学できる大学(の選択肢)が大都市にあったから、でした。
大学進学に関しましては、「〇〇の分野のことを大学で学びたい」といった学びの気持ちが薄かったこともあり、もし地元に「入れる」大学がありましたら、実家から大学に通うことを選んだと思います。
もし高校を卒業して、大学も実家から離れずに通っていたなら、その後の人生も大きく変わっていたことでしょう。
とくに大学生活での目標や目的を明確にさせることなく、私の学力でも「入れそうな」大学を受験し、合格通知を受け取りました大学に「何となく」進学することにしました。
受験を受けて、合格した大学が「たまたま」大都市圏だったので、地元を離れ、アパートでの一人暮らしを始めることになりました。
地元で一緒の高校に通っておりました同級生も、進学を機に、地元を離れ、大都市に出て、一人暮らしを始める方が多くおりました。
地方では、国立大学以外の選択肢が少ない地域が多いのではないでしょうか。
東京の「転入超過」は20~29歳の若い世代の女性が多い
調査によりますと、
2021年度の都道府県間の移動者(引っ越しに伴って、住民票を新しい引っ越し先に移動させた方)は、247万6,640人でした。
都道府県を跨いだ引っ越しをされた方の特徴の一つに、
地方から大都市圏へ「転入」される方が多い点があげられます。
私のように地方から大学進学を機に、地元から「転出」して、
都会(大都市圏)に「転入」される人の方が多いことで、
1950年代からずっと特に東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への「転入超過」が起きているようです。
「転入超過」とは、東京圏に住んでいた方が、東京圏以外の地域に引っ越される(=転出)方よりも、
地方から東京圏に移り住んで来られる(=転入)方の方が多い場合に、
東京圏から見て「転入超過」状態になっている、と言うそうです。
2021年度の東京圏への「転入者」は446,808人で、一方「転出者」は366,367人であったことから、
東京圏への「転入超過」は80,441人となったようです。
東京圏へ引っ越されて来られる方(=転入)が多いということは、
東京圏=大都市圏以外の地域では、「転出超過」となりその地域の人口が減少していることになります。
その地域の人が引っ越し(=転出)により減少しているのは、47都道府県の中で37道府県と、
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、福岡県といった「大都市」に集中的に人が集まっているようです。
大都市圏=東京圏への「転入超過」の内訳を見てみますと、
20~29歳までの若者が、大都市圏に仕事・就職のために「転入」してくる方が多く、
2021年度の東京都への20~29歳までの「転入者」は216,821人であり、
その内、男性は112,314人、女性は104,507人となりました。
216,821人の「転入者」から「転出者」を差し引いて、
東京都の20~29歳までの若者の「転入超過」数を見てみますと57,635人、
その内、男性が28,155人、女性は29,480人と、
「転入者」(他の地域から東京都に引っ越して来られた方)の総数は男性の方が多いのですが、
東京都から「転出」される男性も多いため(2021年度東京都から転出された20~29歳男性は84,159人、女性は75,027人)、
20~29歳の若い世代で東京都の人口を増やしているのは、
女性の方が多いようです。
大都市圏への若い世代の「転入」の理由の一つは、より良い労働条件の仕事・職業を求めて。
東京圏への若い世代の女性が多く「転入」してくる一つの理由として、専門家の方々は、
「地方よりも労働条件が良い職業を求めて、東京圏へ移動してくるのではないか」、
と分析しておられるようです。
確かに、地方よりも大都市の方が「労働条件の良い職業」の選択肢は多いと思います。
「労働条件」の中でも賃金は、大都市と地方では統計を見る限りでも、大都市の方が賃金水準は高いようです。
私のような非正規社員であっても、時間給で見た場合、地元の賃金水準よりは高い気がします。
その意味では、若い世代の方々が大都市圏に魅力を感じられるのも分かります。
私も地元に戻り就職するのではなく、都市部に残り就職しようとしたのは、
「多くの仲間と前向きで、アクティブな仕事」が都市部の企業の方ができそう、と考えたからでした。
私が地元に戻らない理由は、労働条件以外の理由から
実際は、就職活動に失敗し、非正規社員として、仲間と呼べるような「メンバーシップ」には入らせて頂けず、
労働条件も、地方の企業の時間給よりは若干高いものの、正社員には遠く及びませんでしたが、
地元に戻り、就職する気にはなりませんでした。
20代から30代までは、非正規社員ではありましたが、私が一人で生活できる程度のお金はありましたので、
「何となく」漠然と都市部に残り生活を続けておりました。
しかしながら、40代となり、もうおそらく今後の人生も独りで過ごすのでしょう、と認識した頃から、
都市部に残る一つの理由が明確になった気がします。
都市部に残り一人暮らしを続ける理由、
それは地元に「戻らない」理由と裏表の関係でもあります。
私は都市部に残り一人暮らしを続けるのは、
地元に戻り「仕事も、結婚もうまくいかず、この地域に戻ってきた40代の人」と思われることが嫌だからです。
30代のほぼ引きこもり生活から、
40代でようやく前向きに生きようと決めた決意も、
「仕事も、結婚もうまくいかずに、地域に戻ってきた40代」と思われてしまう可能性のある場所では、
揺らぎかねません。
地元=実家には、親がおります、
親には、親が子ども頃からの地縁を軸とします人間関係があります、
また親には、親の職業を軸とします人間関係もあります、
さらに親には、子どもであります私を軸としました人間関係もあります。
私にも、私が子どもの頃からの地縁を軸としました人間関係が僅かですが地元にはあります。
私が育ちました地域は、都市部よりは密な人間関係が今でも息づいておりますので、
困った時に助けてくれることもありますが、
自分にとって好ましくないことも広まりやすい素地があります。
今の私は、都市部で、誰からも関心を抱かれることなく、孤独ですが、尊厳を傷つけられることのない生活の方が好ましいと思うのです。
そして、これからもおそらく地元に戻ることはないと思うのです。
若い世代の女性は、より良い労働条件の仕事・職業を求めて大都市圏に移動されておりますが、
私は、地元に戻ることで、自分の尊厳が傷つくことを回避するため、
孤独でも大都市に残り、生活を続けます。
【文中の参考・引用文献】
・「住民基本台帳人口移動報告 2021年(令和3年)結果」総務省(2022)