「人口減少社会」に生きる私たち
私は40代で、独身で、一人暮らしです。
私と同世代が、今どのような生活をしているのか、少し気になります。
ネットニュースで「独身」「晩婚化」「少子化」といったワードを見つけますと、詳細を知りたくなってしまいます。
2021年10月時点の総人口は1億2550万2,000人となり、1年前の2020年10月時点に比較しますと、64万4,000人減少したそうです。
総務省の発表では、日本が「人口減少」社会に入ったとされるのが、2008年に人口が7万9,000人減少した時点から、とのことです。2008年から今日までずっと日本の人口は減少し続けております。
ちなみに、2004年が日本の総人口が最も多かった年で、人口は2021年よりも228万人多く1億2778万人7,000人でした。
2008年に本格的に「人口減少社会」に突入してから15年弱で、200万人以上の人口が失われたことによりまして、国としても何とか人口減少の「幅」を縮めようと様々な対策を講じているようです。
一度始まってしまいました人口減少を「止める」ことは、今からでは「無理」のようでして、約30年後の2050年には、現在からさらに2500万人程度の人口が減少して、日本の総人口は1億人程度になる予想をされております。
国が講じようとしておりますのは、
約80年後の2100年の日本の総人口を、
7,285万人(高位数計)とできるか、それとも5,972万人(中位推計)に留めるか、4,906万人(低位推計)となってしまうのか、といったように減少すること自体は止めることはできませんが、減少「幅」をできるだけ小さくしましょう、ということのようです。
やはり気になってしまいます「結婚の状況」「未婚の増加」といったワード
国の人口減少対策の中には、私が自然と目をとめてしまうキーワードがよく出てきます。
とくに「結婚の現状」、「未婚の増加」といったワードには反応してしまいます。
国が公表しました資料を見てみますと、
2020年の婚姻件数(結婚件数)は52万6,000件と、1945年以降で最小となったそうです。
1970年の婚姻件数は102万9,000件であった頃から比べますと、現在は約半数の婚姻件数になっているようです。
ちなみに、婚姻件数52万6,000件の内、
初婚は38万7,000件、再婚は13万9,000件と、
婚姻件数に占めます26.4%は再婚となったようです。
また、50歳時点の未婚率(かつては50歳時点の未婚率を「生涯未婚率」と称していた時期もありました)を見てみますと、
女性は15.8%、男性は24.6%となりまして、
とくに男性は4人に1人が未婚のままで50歳を迎えている現状のようです。
「結婚」と「収入」との相関関係、とくに男性の「年収」は「婚姻率」に影響を与えるようです。
そして、以前よりそれとなく指摘がなされてきましたが、
男性の結婚と年収との関係は相関関係が見られるようです。
公表されましたデータを見ますと、
とくに40代の男性の内、年収が500万円以上の方の結婚率(婚姻率)は50%を超えておりますが、
一方で、同じく40代男性で、年収が300万円以下の方の未婚率(独身率)は60%を超えております。
これだけを見ますと、とくに男性につきましては、
年収が高い方の方が結婚されている割合が高いように思われ、
年収と結婚との間に相関がありそうです。
一方、女性は、未婚者の方が年収が高い傾向が見られます。
税制の問題(扶養控除)も絡み、40代で結婚されている女性の50%以上が年収149万円以下となっております。
40代で未婚女性の4割以上の方は、年収300万円を超えているようです。
私の年収も、40代未婚女性で最も多いボリュームゾーンであります250~299万に収まっています。
250~299万の年収があれば、何とか独身で一人暮らしができるようです。
女性にとりましては、年収が高い方の方が、配偶者=男性の扶養の下で生活をする必要性が低く「独身を選び易い」と言えるのかもしれません。
女性は年収が「高い方」が、未婚でいる方が多く、
一方、男性は年収が「低い方」が、未婚でいる方が多い、
ことがデータでは示されております。
男性は収入が高い方が結婚している割合が高いという現実を前に、「就職氷河期世代」で、望んでも正社員に「なれなかった」同世代のことが頭に浮かんできます。
私のように経済事情とは関係なく、自ら独身生活を招いてしまいましたケースはさておきまして、
私と同世代の40代で、年収との関係で結婚できなかった男性については、思うところがあります。
(私が結婚できなかった理由はここに書かせて頂きました。「独身40代私の『孤独』との向き合い方~『ないものねだり』をやめてみる。」)
現在の私の同世代となります40代の方々は、
私と同様に、1990年代後半から2000年代前半の「就職氷河期」に就職活動をされた方々となります。
私も「就職氷河期」に卒業時期を迎え、本当は就活生にとって厳しい環境下では、就職活動を行いたくありませんでしたが、卒業時期は待ってはくれませんので、
仕方なく就職活動を❝真剣に❞行い、それでも正社員としての内定をどこからも獲得することなく、3月を迎え大学を卒業してしまい、
已むなく非正規社員の派遣社員として社会人をスタートさせることになったのです。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「約20年前の就職活動に失敗し新卒派遣社員になったことも、『良い経験だった』と思えるように『理想の働き方』を探し続けます。」)
大学を卒業して直ぐに、非正規社員の派遣社員として働き出すことは、正直「不本意」でした。
私と同様に「就職氷河期」に学校の卒業時期を迎え、求人企業の少なさから正社員として雇用されず、「不本意」ながら非正規社員として、現在も働いている「就職氷河期世代」の方々は少なくとも50万人おられるようです。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「就職氷河期世代の正社員を30万人増やす計画も3万人の増加にとどまった、というニュースに❝当事者❞の私が思うこと」)
私も「不本意」ながら現在も非正規社員で働く50万人の中の一人です。
非正規社員の給与は、与えられた「仕事」に給与(水準)が付いておりますので、
私の場合は、時給1,200円の「仕事」を行うことを会社と契約した以上は、
「同じ」仕事をし続けたとしても、給与は上がることはありません。
給与を上げることを望むのであれば、
より難易度が高く、仕事を行うために必要な技術・知識が広く求められるような「仕事」を行うことを、
今よりも給与水準を提示した上で、改めて会社と契約し直す必要が出てきます。
「職務給」の世界で働く私のような非正規社員が、
今よりも給与水準が高い「仕事」=「職務」を、改めて会社と契約し直すことはとても難しいことです。
今よりも給与が高い「難しい仕事」を望んでも、
今よりも「難しい仕事」を行うために必要な技術やスキル、知識を「どこで」養うのか、
という大きな課題に直面してしまいます。
とくに私のように、大学を卒業して直ぐの社会人としてスキル・知識をまったく身につけていない派遣社員に与えられる「仕事」は、「誰でもが簡単にできる」仕事で、その時給は1,200円が「世間相場」となります。
そして、「誰でもが簡単にできる」仕事を期待されている間は、会社は私に対して「教育」は施してくれません。
「誰でもが簡単にできる」仕事以上のことを私には期待していないからです。
私としても時給1,200円で月曜日から金曜日までフルタイムで働けば、
学生時代と同じアパートで、一人暮らしをできる程度の給与となっておりましたので、
「それ以上の仕事」、「それ以上の給与」を望むことなく、
同じ仕事、同じ給与のまま20年余りが過ぎ去ってしまいました。
望まず非正規社員としての働き方となった私は、どのように行動すべきだったのでしょうか。
非正規社員として、同じ「仕事」=「職務」を、同じ「給与(水準)」で、20年余り行ってきましたが、
その間、「職務給」の世界で働く非正規社員が、給与を上げる手段となります、「より難しい仕事に移る」ための努力はしてきませんでした。
「職能給」の考え方が未だに色濃く残っております正社員につきましては、
会社が、勤続年数を応じて、より難しい仕事に挑戦させようと、そのために必要となります技術・スキル、知識を「教育」するか、ジョブ・ローテーション(異動)を行い、現在よりも難しい仕事を経験させようと「計画」してくれることが多いようです。
一方で、非正規社員につきましては、自分で「キャリアプラン」を考えて、
今よりも難しく、より給与が高い仕事に就くために、
必要とされます経験や知識を得るために、
自ら計画して、勉強したり、行動することが求められるようです。
私は約20年もの間、
時給1,200円の仕事以上のことを行うための知識を増やしたり、経験を積んだり、といった努力を怠ってきました。
「就職氷河期世代」であったことを悔やんでも、仕方がないことで、
非正規社員として働き出さざるを得なくなった瞬間から、ふさぎ込むのではなく、
「どうしたらこの望まない状況を変えることができるのか」、
ということを考え、行動すべきだったのかもしれません。
私と同じく「就職氷河期世代」で、学校を卒業して直ぐ已むなく非正規社員として働き出さざるを得なかった方々が、
「もし」正社員として就職して、安定した収入が得られていたなら、今頃、結婚して、家庭を築いていたかも、と思いますと、❞当事者❞の一人として心が苦しくなる思いです。
【文中の参考・引用文献】
・「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)」総務省統計局(2022)
・「『国土の長期展望』中間とりまとめ」国土交通省(2022)
・「令和4年版男女共同参画白書」内閣府男女共同参画局(2022)
・「結婚と家族をめぐる基礎データ」内閣府男女共同参画局(2021)