Column理想的なlife40代一人孤独にアパート生活、せめて「知的で文化的」な生き方で「ありたい」と。

40代一人孤独にアパート生活、せめて「知的で文化的」な生き方で「ありたい」と。

「こうありたい」と願い気持ちは脆いもの、だからこそすぐに「行動」に移してみるトレーニングから。

統計から見える独身の状況は

2020年に行われた国勢調査によれば、
40歳~49歳の人口は約1,800万人で、
その内、未婚者(独身者)は400万人(未婚者の割合は約22%)とのこと。

ちなみに、40歳~49歳の男性は約900万人で、その内未婚者は約240万人(未婚者の割合は約26%)。
同じく女性は約890万人で、内未婚者は約160万人(未婚者の割合は約18%)。
とくに女性の方が未婚者が少ないようです。

近年は独身者が増えてはいるものの、この統計からは、
40代で未婚者=独身者は約2割と全体からすると少ない割合ということが分かります。

たしかに私と同じ40代の多くは既に結婚し、家庭を築いています。
かつての友人たちの多くは20代~30代で結婚し、配偶者・子どもと生活をしています。
そして、私は高校を卒業し、大学進学を機に親元=地元を離れ一人アパート暮らしを始め、社会人となった今でも、学生時代と同じアパートで一人暮らしを続けています。

20代の頃は同じ独身の友人たちと出かけることもありました。
30代になり友人たちは家庭と家族を持ち、家族との時間を優先するようになっていきました。
またかつての友人たちは、結婚し、家族を築いた友人同士で会うようになり、独身のままの私はますます疎遠になっていきました。
配偶者や子どもいない友人を「家族ぐるみ」の付き合いに誘うことは、ためらわれたのでしょう。

自分が周りからどのように見られているかはどうしても気になるもの…。

40歳になった頃から、朝起きて、働き、家に帰ってきて、夕食をとり、寝て…の繰り返しの日々が苦しくなり、自分なりに「意義ある人生」を見出そうと考え始めました。
同世代の約8割の人々が40代では結婚し、家庭を築いている社会で、
仕事に生きがいを見出している訳ではなく、
趣味に熱中している訳でもなく、
とくに独身で居続ける際立った「理由」が見えない私は、他人からどのように思われているのか、やはりどうしても多少気になってしまいます。

「なぜ〇〇〇さんは結婚しないのでしょう」
「なぜ〇〇〇さんは独身のままなのでしょう」

このような問いに対する答えは、私は持ち合わせていません。
しいて言えば「結婚のタイミングを逸してしまった」ことと「出会いがなかった」ということになるのだと思います。

それでも私を悩ます問題としては、周りからどのように見られているかです。
仕事も生きがいを見出せず、これといった趣味もない私が、
「それでも」独りの人生を愉しんでいる、と「思われたい」自分がどこかにいるのです。

現実は、月曜日から金曜日まで単調な仕事をこなし、
パートナーも友人たちともかなり以前から疎遠となり、
土日の予定はずっと❝まっ白❞な孤独な40代であったとしても、
「それでも」人生を有意義に愉しんでいる人、でありたいと思うのです。

私の考える「有意義で愉しい人生」は「知的で文化的」な生き方をしている人。私は周りからそう見られたい。

孤独でもなお人生を有意義、そして愉しんでいる人生とはどのような「生き方」なのでしょう。
40代の私が考えました「有意義で愉しい人生」を歩んでいる人の特徴は、
「知的で文化的」な活動をしている人でした。

40歳になるまでとくに運動をしてきませんでした。
ですので、40歳になり人生を愉しむために、いきなりテニスを始めてみたり、ゴルフを始めてみるのはハードルが高過ぎます。

そこで、40歳からの意義深い人生を送るために選んだのが「知的で文化的」な活動を行うことです。
「知的で文化的」な活動といいましても、私は絵を描く才能に溢れている訳でも、音楽の素養が備わっていることもありません。
「普通」の40歳がはじめる「知的で文化的」な活動としては、とにかく美術館や博物館に足を運び、芸術に触れることからスタートさせることにしました。

40歳になるまで、無気力でどのようなことに対しても関心が薄かった私は、「芸術」「アート」の知識は全くありません。
教科書に記された世界的に有名な絵画や文学の名前を知る程度です。
そのような私でしたが、40歳からの理想とする生き方を自分で定めたのですから「まずは第一歩」を踏み出す計画を立てました。

20年振りの❝一人❞旅行は「芸術に触れる旅」に。「ベネッセアートサイト直島」へ。

何の取柄もない40代独身者から、
独身であっても「人生を愉しんでいる人」へ❝生まれ変わる❞ため、
「ベネッセアートサイト直島」(香川県)への❝芸術に触れる旅❞を企画しました。

旅行は20代前半に行ってから、20年近く行っておりませんでした。
「一人旅」も初めての経験でした。
30代までの一人でふさぎ込んでいた生活を終わりにして、
独りであることをすべて受け入れ、それでも「人生を愉しむ」第一歩に選んだのが「直島」です。

「ベネッセアートサイト直島」は、
1985年、瀬戸内海の島に世界中の子どもたちが集える場所を作りたいと願っていた福武書店(現ベネッセホールディングス)の福武哲彦社長と、三宅親連直島町長が会談したところから歴史が始まったそうです。
1989年、建築家の安藤忠雄氏の監修のもと「直島国際キャンプ場」がオープンされたことを皮切りに、
1992年には美術館とホテルが一体となった「ベネッセハウス」がつくられ、
さらに「直島コンテンポラリーアートミュージアム」と冠されたアート活動が始められました。

1994年には「現代アートは豊かな自然の中にあってこそ、その本来の力を発揮できる」という考えのもと、直島のさまざまな場所にアート作品を展示した「OUT OF BOUNDS」展が開かれます。
私も実際に観ることができました草間彌生さんの「南瓜」も、このアート展にあわせて展示されたようです。

2004年には「自然と人間との関係を考える場所」をコンセプトに据えた、自然とアートと建築が融合された「地中美術館」がオープンされます。

2010年には「海の復権」をテーマに、瀬戸内の7つの島(直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島)と高松港周辺を舞台として、国際的な現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2010」が7月19日~10月31日までの105日間の会期で開催されました。
この芸術祭には全国から93万8,000人もの来場者が来られたようです。
私も当時は「芸術・アート」には関心はほとんどありませんでしたが、大規模な芸術祭が瀬戸内で開催されたことはニュースで知っていました。
2010年の芸術祭を機に、3年に一度、瀬戸内を舞台にした国際芸術祭が開かれるようになりました。

今年、2022年も4月14日から11月6日まで、春、夏、秋の3期に分けて「瀬戸内国際芸術祭2022」が開催されています。

10年以上の❝ひきこもり❞生活から脱するには、気持ちが萎える前に「動いて」みること。

たとえ芸術・アートの知識が希薄でも、
「知的で文化的」な活動をしたいと思う気持ちが芽生えた瞬間に、
とにかく「動いてみる」ことが大切だと思います。

自分は「こうありたい」と思ってみても、「行動」しないことには、
すぐに、何も変わることのない日常に引き戻されてしまいます。
私は10年以上も薄暗いアパートで一人自分の境遇ばかりを悔やむ日々を過ごしてしまいました。

人の意志は、とても脆く儚いものであることを知っています。
「こうありたい」と願ってみても、次の日には「でも仕方ないか」と諦めてしまうことも知っています。

だからこそ、移ろいやすい決意が変わる前に、予定を決めてしまい、実際に動いてみることの価値は大きいと思います。

「ベネッセアートサイト直島」へは、
羽田空港から高松空港まで飛行機で約1時間30分、
高松空港か高松港までバスで約50分、
高松港から直島までフェリーで約50分、
と約4時間程で行けます。


私は「知的で文化的」な生き方をしたいと決意したその週の土日に、
決意が揺らぐ前に「行動」に移しました。
それが「直島への一人旅」だったのです。

「ありたい自分」に近づくために、
私はとにかく「動いてみる」ことを実践しています。
私の決意や意志が脆いことを自分が一番よく知っていますので。

これからも「知的で文化的」な活動を続けていきたいと思います。



ベネッセアートサイト直島—南瓜

香川県香川郡直島町積浦352-1




※40歳~49歳の人口は17,941,370人で、内未婚者は3,991,874人。
※40歳~49歳の男性の人口は9,052,436人、内未婚者は2,408,826人。
※40歳~49歳の女性の人口は8,888,934人、内未婚者は1,583,048人。


【文中の参考・引用文献】
・総務省統計局「令和2年国勢調査」(2020)
・「瀬戸内国際芸術祭2022」ホームページ

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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