「転職」を迫る金銭的な事情
「老後の資金は2,000万円必要」が少し話題となり、私なりに65歳以降の生活を考えてみましたところ、今と同じような生活は71歳あたりまでしか続けられないことが分かりました。
前提と致しましては、
65歳まで、
①現在と同様の月収21万円、
②支出(生活費)が月14万円、
③貯蓄が400万円、
④年金が月9万円もらえる、
ことが条件となります。
私は65歳で仕事を辞めますと、
現在と同じく一人アパートで、毎月の生活費14万円で生活できるのは、
71歳までとなってしまうことが濃厚のようです。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「独身アパートで一人暮らし、しばらくはこのままの生活が出来そうですが、❝老後❞の「お金」が気掛かりなことも。『老後の資金2,000万円必要問題』に思うこと。」)
2020年に調査された平均寿命では、
女性が87.7歳、
男性が81.6歳、
となったようですので、このまま同じ働き方、同じ給与のまま65歳まで仕事を続けた場合、およそ71歳で生活費を賄えなくなりますが、
その後、平均寿命まで生活しようとしますと10年分以上、生活費が足りなくなりそうです。
健康上のトラブルは気を付けていても避けられないこともあるかもしれませんが、
お金の問題は、ある程度の予測ができるものですので、
高齢者になっても、都合よく支えてくれる方は現れないでしょうから、
40代の今の内から想定される「悪いシナリオ」を回避するように考える必要がありそうです。
「転職」を迫るデジタル化の波。AIによる「置き換え」問題
まずは今の仕事から考えてみますと、
今の仕事は、私が新卒派遣社員として社会人をスタートさせた2000年代前半から、あまり作業内容を複雑化させることなく、ずっと継続しておりますデータ入力業務です。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「『石の上にも3年』=『入社したら3年は働くべき』と昔はいわれましたが…。私は主体的に動くべきでした。」)
職業の分類としては「一般事務員」になると思われます。
勤め先は、社歴も長く❝保守的❞な会社だと私は思っています。
それでも、ここ数年はIT化・デジタル化の流れは、着実に私の仕事にも迫ってきていることを感じます。
新卒派遣社員になって以来、ずっと同じようなルーティーンワークを行ってきましたが、さすがに今の仕事は、あと数年でデジタル化され、私のルーティーンワークはなくなってしまう気がしています。
2015年に発表されました研究によりますと、
(2015年から起算して)あと10~20年後には、日本の労働人口の49%が人工知能やロボットに(技術的には)置き換えられる可能性があるようです。
2015年発表の研究結果ですので、もうすぐ10年になります。
確かに2022年の現在でも、既に人口知能やロボットに「置き換え」が始まっているように実感します。
薄々気がついてはおりましたが、
「置き換え」は、「必ずしも特別の知識・スキルが求められない職業」に加えて、「データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業」についても、人工知能が代替できる可能性が高いそうです。
実際私が約20年前から担っておりますデータ入力の業務は、
「このような単純作業はいつか無くなるだろうなぁ」と感じておりました。
研究によれば、私の職業分類と思われます「一般事務員」の自動化が可能になる確率は99.7%のようです。
あと数年の内にほぼ100%の確率で、私の仕事は人工知能などに「置き換え」られるようです。
❝分かってはいた❞つもりですが、実際に「あと数年の内にほぼ100%の確率であなたの仕事は無くなりますよ」と告げられますと、さすがに焦ります。
私は、
あと数年の内に今の「一般事務員」の仕事は人工知能に「置き換え」られそうですし、
このまま今と同じ仕事、同じ給与で65歳まで続けられとしても71歳頃には「老後の資金」が枯渇してしまいそう、といったちょっと大変な状況のようです。
40代、同世代の方々で「正社員」として転職された方は3分の1に満たない厳しい状況も
40代現在の私の置かれている状況が少し把握できた気がします。
今から取り得る「対策」はいくつかあると思われますが、
まずは「転職」について考えてみたいと思います。
私と同じ40代の方々の「転職」状況を見てみますと、
40~44歳で、
2021年度中に転職された人数は50万8,000人、
内女性は30万6,000人、男性は20万1,000人のようです。
40~44歳の女性は、
1年間に約30万人転職をされていますが、
内訳をさらに見てみますと、
「雇用期間の定めのない一般労働者(≒正社員)」として転職された方は、
8万3,000人にとどまるようです。
40~44歳女性で、転職された約30万人の半数以上が、
「パートタイム労働者」として転職され(18万3,000人)、
さらに「雇用期間の定めのあるパートタイム労働者」が最も多く12万人だったようです。
この数字を見ますと、
40~44歳の女性で正社員として転職された方は全体の27%と、
3分の1にも満たない割合ということが分かります。
40代での転職は❝厳しい❞とは想像しておりましたが、
実際、正社員として転職された方が3分の1にも満たない数字を見ますと、その❝厳しさ❞が実感として伝わってきます。
しかしながら、40~44歳で転職された方の転職後の「賃金」を見てみますと、
「増加」された方は39.1%、
「減少」された方は28.5%、
「変わらな」かった方は31.0%、
と転職されたことで賃金が増加した方の方が多いようです。
この点は少し明るい材料ではありますが、
賃金を増やすためには、正社員として転職することが求められそうです。
ですが…、現実は40~44歳の女性が正社員として転職された方は27%にとどまっています。
多くの同世代の方々は「期限の定めのあるパートタイム労働者」として転職されているようです。
私の今の仕事は、おそらく近い将来なくなりそうです。
このまま同じ仕事を続けられたとしても給与が上がる可能性はほとんどありません。
給与が上がらず65歳まで働けたとして、71歳頃には老後の資金が枯渇してしまう可能性が高いです。
社会人をスタートさせた第一歩目から現在まで、仕事内容がほとんど変わることなく「一般事務員」をしてきました40代の私が、これから❝理想の❞転職を叶えることができるのでしょうか。
【文中の参考・引用文献】
・「金融審議会市場ワーキング・グループ報告書『高齢社会における資産形成・管理』」(2019)
・「令和2年簡易生命表の概況」厚生労働省(2021)
・「未来人ビジョン」経済産業省(2022)
・「日本におけるコンピューター化と仕事の未来」野村総合研究所(2015)
・「令和2年雇用動向調査結果の概況」厚生労働省(2021)