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独身40代一人暮らし、私の独りの朝食

誰かのために、という食事をつくる目的

学生から社会人へ

高校を卒業して、学校への進学とともに親元を離れ、正社員として社会人の第一歩目を歩むことはできませんでしたが、地元(親元)には帰らず、学生時代と同じアパートで一人暮らしのまま働き始めました。

学生時代は学校に行って講義を受けたり、アルバイトをしたりがありましたが、社会人よりは多くの「時間」がありました。
進学し、親元を離れ、一人暮らしを始めてからは自分で食事を作る生活をしていました。
学生時代は、一人暮らしで、自分で自分のためだけの食事を作り、独りで食べることに、何の感情もありませんでした。
普通の学生の、普通の食生活でした。

そして、大学3年生の秋に学校卒業後の生き方を選ぶにあたり、選択したことは親元=地元には帰らず、今通っている学校の近くの地域で働くことでした。
高校から学校への進学に際しても「今就職するのは厳しいから進学して、その間に就職環境が良くなることを祈ろう」というモラトリアム的な進学動機でしたが、就職についても「地元に帰るよりも、このままこの地域で生活する方が楽しそう」という近視眼的な動機でした。

「就職氷河期」真っ只中での就職活動は想像以上に厳しく、派遣社員として社会人をスタートしました。
学生時代と変わらないアパートで、社会人になっても変わらず独り暮らし。
変わったのは、生活のための時間です。

社会人1年目は、朝6時に起きて、7時に家を出て、8時には職場(派遣先)に着き、仕事の準備を始める。
18時には職場を出て、19時には家に着く。
そして、23時には就寝。
月曜日から金曜日までは、ほぼ同じ時間の繰り返し。

独り暮らしの生活では、誰も私のために食事を作ってくれません。
朝ごはんも、夕ごはんも用意されていることはありません。
はじめの頃は土日に「作り置き」ということもしていましたが、今はほとんどしなくなりました。

料理をすることへの関心

40代になり、ますます「食」への関心の薄らぎを感じてます。
美味しいものが食べたい、という気持ちもあまり湧いてこなくなっています。

とくに、料理をしたい、という気持ちは数年前から心の奥にしまったままで表に出てきません。
料理は、誰かのために、という目的が大切なのかもしれません。

自分が食べるだけ、であれば、買った方が断然楽です。
料理のための買い物はしなくても良いです。
料理のための時間もいりません。
食べた後の後片付けもありません。

母は毎日、買い物、料理、後片付け、
さらにお弁当づくり、
大変だったと思います。
ですが、家族のため、子供のため、という目的があったから、続けられたのかもしれません。

独り暮らしで、自分のためだけに料理をする気持ちは、私には湧いてきません。
傍目から大変そう、と思えることも、「何もやらなくて良いよ」と宣告されることに比べれば、目的がある苦労の方が幸せなのかもしれません。

誰かのために、何かを。
人が「人間らしく」、人の間で生きていくことが、あたり前のようですが、幸せなのかもしれません。

私は自分で独りの生活を選びました。
なので、私にとって、理想的な独りの生活を見つけ出したいと思っています。

日々の生活の中でのほんの少しの❝贅沢❞

社会人として20年余りの時が過ぎた今は、
朝6時に起きて、7時に家を出て、
7時40分頃にお店に入り、朝定食を食べ、
8時30分から仕事を始めます。

毎日、朝起きて、仕事をして、夕食を食べて、寝て、そして朝起きて…、
繰り返しの中で、10代、20代とは比べものにならない程、時間が無意識に過ぎ去ってしまっています。
1月寒かったと思っていたら、気がつけばもうエアコンを必要とする夏に…。

この無意識的に過ぎ去ってしまう日々の生活の中で、
ほんの少し❝贅沢❞な時間、
私にとっては誰かが作ってくれたみそ汁とハムエッグと小鉢とサラダを朝食べる時間、
そして食事の時に見ず知らずの人であっても近くにいる時間、
が大事なのだと感じるのです。

Author's Profile

プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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