Column理想的なlife40代独身の愉しい休日~名作アニメ映画になぞらえて、森美術館、国立新美術館を鑑賞

40代独身の愉しい休日~名作アニメ映画になぞらえて、森美術館、国立新美術館を鑑賞

人生を精一杯愉しむこと、これが私の「孤独との向き合い方」の一つの方法です。

今回の❝お一人さまの遠足❞は『君の名は。』の❝巡礼❞をテーマに。

私は40代独身で友だちもおりません。休日に誰からも何も誘われることがありません。
それでも、人生を意義深く愉しく過ごすために、自ら❝お一人さま❞の楽しい❝遠足❞を企画して、意識的に外に出掛けるようにしています。

今回の❝遠足❞は、2016年に公開されましたアニメ映画『君の名は。』になぞらえて、
主人公とアルバイト先の先輩が訪れていました、
六本木ヒルズ・森タワーと国立新美術館を❝巡礼❞する企画を立ててみました。

『君の名は。』は2016年8月に新海誠監督のアニメ名画で、日本の歴代興行収入ランキング5位の大ヒット作品です。
『君の名は。』が公開された時は、私は30代で、土日はずっと家にひきこもる生活をしておりましたので、映画館で作品を観ることはなく、公開から約1年半後の2018年1月にテレビ放送された際に、家で見ました。
「さすが大ヒット作!」と面白さに、感動したことを今でも覚えています。

ちなみに、日本の映画歴代興行収入ランキングは、
1位、劇場版『鬼滅の刃』無限列車編(2020年)
2位、『千と千尋の神隠し』(2001年)
3位、『タイタニック』(1997年)
4位、『アナと雪の女王』(2014年)
そして、5位が『君の名は。』(2016年)となっておりまして、
私が唯一映画館で観たのが『タイタニック』でした。
振り返りますと、映画館には25年近く行っていないことに気がつきます。
そして、人生で一度も❝お一人さま❞で映画館に行ったことがないことにも気がつきました。

一人で映画を観るには、家のテレビで私は十分なのでしょう。
となりますと、よほど強い関心を惹く映画が公開されない限り、この先も❝お一人さま❞では、映画館に行くことはなさそうです。
私にとって映画館は「誰かと行くからこそ」楽しめるスポットなのかもしれません。

1か所目の❝巡礼地❞:六本木ヒルズ森タワー(森美術館)

では、はじめに主人公の「瀧君」と「奥寺先輩」が訪れました六本木ヒルズ森タワーに登ってみたいと思います。
映画では、六本木ヒルズ森タワー52階の「東京シティビュースカイデッキ」から東京の街並みを眺望しておりましたが、私の休日を楽しむための予算も限られているため…、森タワー53階の「森美術館」を見学することにしました。
調べましたら、53階からも東京の街並みは一望できそうでしたので。

私が「森美術館」を訪れました日は、「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」展が行われていました。
この企画展の趣旨は、公式ホームページによりますと、

2020年以降、目に見えないウイルスによって日常が奪われ、私たちの生活や心境は大きく変化しました。こうした状況下、現代アートを含むさまざまな芸術表現が、かつてない切実さで心に響きます。本展では、パンデミック以降の新しい時代をいかに生きるのか、心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か、を現代アートに込められた多様な視点を通して考えます。自然と人間、個人と社会、家族、繰り返される日常、精神世界、生と死など、生や実存に結びつく主題の作品が「よく生きる」ことへの考察を促します。

また、本展では、美術館ならではのリアルな空間での体験を重視し、インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画など、国内外のアーティスト16名による約140点の作品を紹介します。五感を研ぎ澄ませ、作品の素材やスケールを体感しながらアートと向き合うことは、他者や社会から与えられるのではない、自分自身にとってのウェルビーイング、すなわち「よく生きる」ことについて考えるきっかけになることでしょう。

森美術館

とのこと。
森美術館館長の片岡真実さん、森美術館キュレーターの熊倉晴子さん、德山拓一さんが企画され、
出展されたアーティストは、オノ・ヨーコさん、ヴォルフガング・ライプさん、ギド・ファン・デア・ウェルヴェさん他16名の方々。

本企画展の主題ともなっております「地球がまわる音を聴く」、この言葉を紡がれましたオノ・ヨーコさんのインストラクション(指示書)「グレープフルーツ」では、オノ・ヨーコさんの「言葉」を私なりに読み解こうと何度も繰り返し、「言葉」に触れてみました。

ヴォルフガング・ライプさんの《ヘーゼルナッツの花粉》では、「生命のはじまり」を作品から感じ取ろうと努めました。

ギド・ファン・デア・ウェルヴェさんの《第9番 地球と一緒に回らなかった日》は、凍える寒さの北極点に24時間立ち続け、地球の自転とは反対向きに回り続ける8分40秒の映像作品を、私は2度その場で見続け、作者が「伝えたかったことは何か」を頭をフル回転させ思考し続けました。

小泉明郎さんの《グッド・マシーン バッド・マシーン》は、観た人に、その解釈を大きく委ねる作品だと思いました。
私には、今でも小泉明郎さんの作品をどのように受け止めて良いのか迷ってしまうほど、インパクトの強い作品でした。

その他、16名のアーティスト、約140品の作品をじっくり1時間30分ほど掛け観て回りました。
私は美術・アートに造詣が深い訳ではありませんので、美術館に訪問した際の想いをうまく表現はできませんが、
「アーティストは(作品の意図を)『考えさせる』ことが仕事」と仰られる方もおりますので、
私は素直に、作品の前に立ち、
「このアーティストはこの作品にどのような意図を込めたのでしょう」と思考を巡らせてみることにしています。

このアート作品を前に「思考」することが、私にとって、
40代独身で、孤独でも「知的で文化的な」生き方をしている人、
の「アイデンティティ」(=自己同一性)に近づく行為だと思っているのです。

2か所目の❝巡礼地❞:国立新美術館・カフェ「サロン・デ・テ ロンド」

展示会エリアを出ますと、53階から次の訪問先であります国立新美術館も確認することができました。
森タワーをあとにして、徒歩で国立新美術館を目指します。
10分程で美術館に着きますと、5人(5体?)の「ドラえもん」が出迎えてくれました。



9月3日~9月19日に掛けて「六本木アートナイト2022」と称しますアートイベントが開催されており、
国立新美術館、六本木ヒルズ、東京ミッドタウン周辺にアート作品を点在させ、
「非日常的な体験をつくり」出しています。
国立新美術館前に展示されております「ドラえもん」もアーチストとコラボレーションした作品です。
アーチストの❝想い❞が、私たちが良く知る「ドラえもん」の上に表現されています。



今回の国立新美術館への❝遠足❞の目的は、
『君の名は。』の作品中で主人公と「先輩」が訪れた美術館内の「サロン・ド・テ ロンド」で、
私もランチを頂くことでしたので、
偶然にも開催されておりましたアートイベントに遭遇できたことは、❝得した❞気分でした。
ちなみに、六本木ヒルズアリーナでは、村上隆さんの作品となります10メートルの大型のドラえもんを観ることができました。

さて、国立新美術館は「森の中の美術館」のコンセプトのもと、黒川紀章さんの設計によりまして、館内には、12の展示室、講堂、研修室に加えて、1つのレストラン、3つのカフェが設けられ、「新しい東京の芸術文化のサロン」となることを期待され、2007年1月開館しました。

館内には、大きな逆円すいの構造物が2つあり、その一つが映画のワンシーンで登場したカフェ「サロン・デ・テ ロンド」です。
私が通された席は、映画で使われた位置よりも若干中央寄りの席でした。
席ばかりは選ぶことが叶いませんでした。
それでも、❝巡礼❞としては、十分に心を満たすことができました。



「私は自分で企画して、こんな文化的な雰囲気と時間が流れる空間にいる」

「過去」は変えられませんが、
「これから」は自分が望む方向に進める可能性があります。
自分が望む「アイデンティティ」(=自己同一性)を獲得できる可能性があります。

40代で、独身で、孤独でも「それでも」知的で文化的な生き方をしている人、
そんな人でありたい、と願い、
限られた予算の中で、精一杯独りの時間を愉しみたいと思います。

人生を精一杯愉しむこと、
これが私の「孤独との向き合い方」の一つの方法です。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「40代独身、私の『孤独との向き合い方』」)

【今回の❝遠足❞で使った費用】
・森美術館「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」企画展チケット 1,800円
・国立新美術館カフェ サンドイッチセット 1,540円


【文中の引用・参考文献】
・「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」森美術館

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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