親元を離れた人にとっての年に2度の「帰省」時期
実家を離れ生活を行う方々は、大きく年に2度ほど帰省の時期が訪れます。
8月のお盆の時期と、年末年始=正月です。
私は大学を機に実家を離れ、アパートで一人暮らしを始めてから、
はじめの数年はお盆と正月のどちらかには帰省をしておりましたが、
社会人となり、30代になる頃には、
ほとんど実家には帰省しなくなっておりました。
以前書かせて頂きましたが、「病気のときに看護・家事をしてくれる人」については、
多くの方が「母親」と答えておりますが、
私は、病気になっても、そう簡単には母親には頼れません。
(詳しくはここに書かせて頂きました。「『独身ほど健康に不安を抱えている』との調査結果に、他人事ではない事情 ~健康に不可欠な食事ですが、私は『面倒』なので料理をほとんどしません。」)
進学を機に親元を離れた人の実家に戻らない理由、「人間関係」と「仕事」
大学を卒業した後、実家に戻り、就職する選択肢もありましたが、
私は実家には戻らず、学生時代と同じアパートに住み続けることを、
自分で決めました。
大学を卒業しても実家に戻らなかった理由の一つは、
当時は私にもパートナーがおりまして、「いずれはこの方と生活をともに…」という淡い期待もありました。
実際は、「いずれはこの方と生活をともに」することはありませんでしたが、
実家に戻らなかった大きな理由の一つでありました、パートナーの存在も20代半ばには無くなってしまった後も、
私は実家に戻ることを選びませんでした。
ちなみに、実家に戻らない一般的な理由の一つに、
「仕事が面白いから」とか「今の仕事が大切だから」といった職業に関連させられる方も多いと思いますが、
新卒者の頃から非正規社員を続けております私には、
「大事にすべき仕事」という思いを抱いたことはありません。
「仕事」は、学生時代と変わらず一人暮らしを続けるため、収入を得るために必要なもの、という認識です。
パートナーは20代半ばにはいなくなり、
仕事にはとくに思い入れはなく、
それでも、独りアパートで生活を続けるのは、
実家=母と同じ家で生活をしたくない、というネガティブな気持ちが働いてしまうからです。
❝昔から❞の「理想的」な「生き方」を大切にしている母
私の母は、❝昔ながら❞の「生き方」に倣って人生を送ろうとする人でした。
とくにジェンダーの役割については、❝昔ながら❞の慣習を重んじる人でした。
「女性は〇〇〇すべき」、「女性は〇〇〇であるべき」という「慣習」に基づいた言葉を、
日頃からよく使っておりました。
❝昔ながら❞の「生き方」を尊重して、人生を過ごしてきた母には、
わが子が、
40代で、独身で、子どもいない、人生を送っていることを、
冷静に受け止められる余地はほとんど残されておりませんでした。
母の心の根幹には、
女性は、20代で結婚して、家事をこなし、子育てに勤しむ、
❝理想的❞な❝昔ながら❞の「生き方」のモデルが備わっておりました。
私も母の抱く❝昔ながら❞の「生き方」モデルを、はじめから全て否定していた訳ではありません。
ただ、とても辛かったのは、
私は❝理想的❞な「生き方」モデルを自ら拒否した「訳ではなく」、
「望んでいた」生き方を頑張っても「できなかった」ことを、
理解してもらえなかったことです。
独身を進んで「選んだのではない」心の内を理解してもらえない辛さ
私は、
ほんの僅かな「ボタンの掛け違い」程度の些細なズレのはずでした、
20代半ば頃からでき始めてしまいました周囲の方々との距離感が、
その後、その距離感が途方もなく広がり、30代には完全に孤立してしまいことになり、
結果的に40代の現在まで、
結婚して、家庭を持つことが「できなかった」のです。
親であっても、私が周囲の人間関係から遠ざかっていった「理由」については、
説明する気にはなれませんでした。
説明しなかったことで、結婚を含んだ❝理想的❞な「生き方」モデルを「選ばない」人だと思われたのかもしれません。
「いつまでも独りでアパート生活を続けるの?」
「いつまで結婚もしないで❝自由❞な時間を過ごすの?」
私には、親なら子の気持ちを察してくれるのではないか、
という淡い期待がありましたが、
親子であったとしても、「本心」は口に出さなければ伝わらないもののようです。
決して、自ら進んで独身を選択した訳ではなかったのですが…。
❝昔ながら❞の「理想的」な「生き方」を子にも望んでいた母と、
積極的に「理想」に反して、独身を選んだ訳ではない私、
との距離も自然に離れていきました。
いつか、私は自ら進んで今の孤独な生き方を「選んだ訳ではない」ことを、
勇気を出して、恥じることなく、話せる日が来るのでしょうか。
今年も、私からも、母からも、どちらからも連絡をしないまま、
年に2度の「帰省」の時期が、過ぎ去っていきました。