Column理想的なwork独身40代「いま」の私は「今の給与」で足りてますが、「いつまでも」会社に「将来」をゆだねて良いものかと悩むことも。

独身40代「いま」の私は「今の給与」で足りてますが、「いつまでも」会社に「将来」をゆだねて良いものかと悩むことも。

日本では7割以上が賃金交渉を行ったことはない、ようです。

私の雇用契約の「協議」は、6カ月間の契約を延長するか、しないか、だけでした。

私は2000年代前半の「就職氷河期」真っ只中、大学4年生で迎えた新卒者としての就職活動に失敗し、正社員としての内定を1社からも得ることなく、卒業の時期を迎えてしまい、本当は正社員として働くつもりでしたが、「緊急避難的」に非正規社員の派遣社員として社会人をスタートさせました。

派遣社員の私に提示された労働条件は、
時給約1,200円、
6カ月の雇用契約<但し、契約延長の場合あり。契約延長の場合は、契約終了の1ヵ月前までに協議する>、
でした。

6カ月契約<但し、契約延長の場合あり。契約延長の場合は、契約終了の1ヵ月前までに協議する>とは、
もし派遣先の「会社が」6カ月の契約が終了した後も、私という労働力を必要とする場合、
「私に」契約延長を「申し出る」、という雇用契約です。

「協議する」とはなっていますが、私の派遣契約では、
「私が」6カ月後に契約を延長したいと思っても、
「私から」契約延長を「申し出る」ことは基本できません。

派遣先の「会社が」私という労働力を必要とされることによって、
6カ月契約が終了した後に、契約を延長するかどうかの「協議」の場がセッティングされるのです。

私の派遣契約延長の「協議」は、
契約から5カ月が過ぎた頃に、
派遣元(派遣会社)の担当者が、派遣先=職場に来られ、
「(派遣先企業から)来年の3月末までお願いできますか、とのことです。
 継続で宜しいでしょうか。」
と、とても短い時間で終わります。

私は当初は、派遣社員を1年くらいやって、正社員に転職しようと思っていました。
しかしながら、新卒者としての就職活動で約30社から「不採用」を突き付けられました❝悪夢❞がよぎり、どうしても転職活動に向かうことはできませんでした。

新卒者として行った就職活動の際の履歴書には、学校名を記載すれば足りたのですが、
社会人になった後は、入社した会社名や職務経歴も履歴書に必要になります。
私には、雇用契約を結んだ派遣会社と、
派遣社員としてルーティーンワークを行っていたことしか書けません。
このような履歴書で転職活動を行うことは❝怖くて❞できませんでした。

また新卒就職活動の時のように「不採用」通知を見るのが怖くて、
動けませんでした。

6カ月契約を延長し、
その後5カ月過ぎた頃に担当者が来られ、「協議」の上で再度延長し、
さらに5カ月が過ぎて、また「協議」し延長する…、
ということを幾度となく繰り返し、気がつけば10年以上派遣社員をしておりました。

派遣元企業と私との労働契約に関します「協議」は、
6カ月の派遣契約を延長するか、しないか、のみが議題でありまして、
その他の労働条件に関します議題は、「協議」しません。

当然、時給に関する議題も、会社からも私からも持ち出さないので、
大学を卒業した年の4月に時間給1,200円と「合意」した後は、
10数年間ずっと変わりませんでした。

日本の7割以上の方は「賃金交渉」をされたことはない、ようです。当然私も。

ある調査によれば、
日本では、71.3%が「入社後に賃上げを求めたことはない」とのことです。
7割が「賃上げを求めたことはない」ということは、日本では「賃金」に関して、自分からは触れないことが「一般的」ということが言えるのではないでしょうか。

私もその7割に入っておりまして、社会人になって約20年ですが、
一度も「賃金」について「交渉」したことはありません。
会社から提示される時間給に頷いてきただけです。
なので、賃金を上げて「頂いた」こともありません。

ちなみに、
アメリカでは71.3%の方が「賃上げ交渉」を行っておりまして、
さらに、フランスでは76.4%の方が「賃上げ交渉」を行っているそうです。

私は働き始めた頃から、
6カ月後の契約は、「会社から」の「協議」がなければ、そのまま終了してしまうような不安定な雇用契約でしたので、5カ月が経過しようとしている頃に、担当者から「来年の3月末まで延長ということで」と告げられるだけで「満足」しておりました。

非正規社員である派遣社員の私は、働く場所が再度6カ月間確保されるだけで「良かった」と思えたのです。
6カ月間の延長に加えて、さらに「時間給」を「交渉」することは望むことは叶いませんでした。

現在は、派遣先だった会社の直接契約に変わり、雇用契約も定年までとなりましたが、
給与水準は、派遣社員だった頃の賃金を基準に「協議」致しましたので、
ほとんど上がることはありませんでした。
そして、私の現在の雇用契約は、毎年のように自動的に「賃金が上がる」ことはありません。

今は生活ができていても、健康上の問題が現われた時にどうするか、40代独身の悩ましい問題。

独身で、学生時代と同じ家賃の同じアパートに一人で暮らす私には、
十数年間ほとんど上がっていない給与水準でも、困窮するほどではありません。
月曜日~金曜日までは家と会社の往復だけで、
休日も一人で出掛けるだけですので、やっていけています。

ですが、「貯蓄」はほとんどありません。
お金を貯められるほどの給与水準ではないからです。

おそらく今後も独身で生きていくと思いますので、「家族」のライフステージに応じた出費に悩むことはありません。
ですが、40代になってからは(よく言われることではありますが)、私も自分の健康については考えることが増えました。

「もし私が健康上の理由で働けなくなったらどうしよう…。
 誰も助けてはくれません。」

今は40代独身ですが、いずれ50代独身となり、60代独身になる日も。
「孤独」もとても大きな問題ではありますが、
「貯蓄」も差し迫った悩ましい問題として捉えられるようになってきました。

万が一、私が健康上の問題で、少しの期間でも働けなくなった場合、
頼れるのは「貯蓄」となるのですが、その「貯蓄」が私はほとんどありません。
「もし働けなくなったら」と想像しますと、ぞっとします。

ちなみに、とある調査によりますと、
2021年、二人以上の世帯における1世帯当たりの貯蓄現在高(の平均値)は1,880万円とのこと。
どうやりくりしても私にはその3分の1も到底貯蓄することは叶いません。

これまで私は「働くこと」や「給与」に関しまして、
会社にすべて委ねてきてしまいましたが、
「これから」少しは自分で人生設計を考える必要があると思っております。

「これから」も独りで生きていくためには、
経済的な自立も必要だと考えるようになってきました。

会社と本当の意味での「協議」ができるようになるため、
これからの「働き方」も少し考えてみたいと思います。
とてもとても難しい問題ではありますが…。


【文中の参考・引用文献】
・「第1回 未来人材会議 事務局資料」経済産業省(2021)
・「家計調査報告(貯蓄・負債編)2021年(令和3年)平均結果」総務省統計局(2022)

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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