Column理想的なlife私の人生の愉しみ方、アート・芸術の❝意味❞は分からなくても、とにかく「触れる」こと

私の人生の愉しみ方、アート・芸術の❝意味❞は分からなくても、とにかく「触れる」こと

あり余る一人の時間も動き出すことで意義深いものに。

そうだ「清津狭渓谷トンネル」に行こう、すぐに

独身で40代の私の土日はすべての時間を自分のために使えます。
私の人間関係は以前書いたように基本1人です。
(「40代独身私の人間関係は孤独でも、それでもなお。」)
私と同じような40代で独身で、20代にはあった人間関係が徐々に希薄になっていき、今となっては基本年間を通じて1人の生活の方もおられるのではないでしょうか。

基本1人の生活では、自分で動き出さない限りは何も起きません。
月曜日から金曜日まで会社で働き、金曜日の夜から月曜日の朝までは1人の時間となります。
家族、地域の人たち、出身校の友人、職場の同僚、趣味の友人など、どのコミュニティからも疎遠となった私は休日に誰かから、何かを誘ってもらえることはありません。

20代の頃に友人たちとどこかに出掛けた時の楽しい思い出は残っており、やはり1人で過ごすよりは、誰かと一緒に時間を共有する方が楽しいのでしょう。
それでも今は基本1人の生活の中で、私なりに人生を意義深く愉しいものにしようと、1人で計画を立て、1人で動いています。

先日は、新潟県十日町市の「清津狭渓谷トンネル」に行ってきました。


清津狭渓谷トンネルがアート作品「Tunnel of Light」になるまで

清津狭渓谷トンネルは、黒部渓谷(富山県)、大杉谷(三重県)と並んで「日本三大峡谷」と呼ばれているそうです。

雄大な柱状節理の岩肌とエメラルドグリーンの清流が、訪れる人々に深い感動を与えます。

日本三大峡谷清津狭ホームページより

「これはぜひ観に行きたい」、1人の行動は思いついた瞬間から動き出せます。
新潟県十日町までは上越新幹線で越後湯沢駅まで行き、そこからレンタカーで移動しました。
東京駅から越後湯沢駅までは1時間30分ほど、越後湯沢駅から清津狭トンネルまでは車で30分ほどです。

清津狭のホームページの紹介文によれば、清津狭は、
1600万年前に海底火山の噴火活動により、火山灰が降り積もり、化学変化で緑色に変色して(緑色凝灰岩)、さらに500万年前に海底が隆起して陸地の山となり、清津川によって削られ、谷間が深くなり、現在の清津狭ができあがったようです。

現在の清津狭トンネルができるまでには、
1862年に清津狭に温泉場がつくられ1949年には温泉街も整備されました、1980年代に雪崩や落石事故があり、一旦清津狭登山道は通行禁止となったそうです。
それでも清津狭の渓谷美を紹介したいとの思いから、1992年に歩道トンネルの建設が始まり、1996年に清津狭渓谷トンネルが開坑されるに至ったようです。

さらに2018年、十日町市・津南町で3年に一度開催されておりました「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」にあわせて、清津狭渓谷トンネルもアート作品としてリニューアルされました。アート作品となった渓谷トンネルは作品名「Tunnel of Light」と冠されました。

そして2022年4月29日から渓谷トンネルのアート作品へのリニューアルのきっかけとなった「大地の芸術祭2022」が、コロナ禍で「3年に一度」の開催サイクルが1年ずれてしまいましたが、開催されています。

「大地の芸術祭2022」でも清津狭渓谷トンネルは「Tunnel of Light」の作品名を冠されて、芸術祭の主要なアート作品の一つとなっています。
ちなみに、大地の芸術祭2022のホームページでは、

清津峡渓谷トンネルを、2018年の大地の芸術祭にて、アート作品として改修。自然の「5大要素」(木、土、金属、火、水)を利用しながら、建築的な空間とアーティスティックな雰囲気をつくりだし、この歴史あるトンネルを変容させた。人間と自然の関係をあらためて考え、地元の人々、来訪者双方を土地の圧倒的な美しさに再びつなげることを企図している。

大地の芸術祭越後妻有2022ホームページより

と紹介されています。
作品としてポイントは、渓谷トンネルの中に自然の「5大要素」(木、土、金属、火、水)を用いることで、人間と自然の関係を改めて考え、地元の人と来訪者の双方を土地の美しさに再びつなげる、ことのようです。

私なりのアート・芸術の愉しみ方、とにかく「知ろう」とすることから

なるほど、見どころは、トンネル内に表現された自然の「5大要素」と、
その「5大要素」をトンネル内に加えることで「人間と自然の関係を改めて考える」こと、
と私は理解しました。

実のところ、私はアートや芸術について造詣がある訳ではまったくないのですが、
アートと芸術を「知ろう」とすることで、
40代独身、孤独に生きることになった人生に少しでも意義を加えたいと思っているのです。

この清津狭渓谷トンネルに「行きたい」と思ったのも、
景観の圧倒的な素晴らしさだけではなく、さらにアートと芸術の要素が加えられているからです。
独身の私には❝あり余る❞ほどにある土日の時間を「意義深く使った」と思うためには、
「人間とは何か」をさまざまな手法を用いて表現しているアート・芸術に触れることが一つだと思うのです。

アートや芸術の知識はほとんどなくても、「知ろう」とすること、
「知ろう」として(とにかく)「動いて」みること、
そして、アート・芸術に実際に「触れて」みることで、
孤独で、意義が見出しにくい人生でも、
「今日は良い一日だった」と思える瞬間を、私は増やせるのではないかと思っているのです。

芸術について、真面目に勉強するほどの根性がない私ですが、
作者のことは分からなくても、作品の意味や由来を知らなくても、
気軽に、気楽に、楽しめそうな「芸術」に触れ、
たびたび意義があるのか分からなくなる自分の人生を、
精一杯愉しもうとしています。

基本1人で、土日の予定が真っ白な私は「行きたい」と思った瞬間に動けます。
清津狭渓谷トンネルのホームページを見ますと、トンネルの鑑賞は事前予約制とのこと。
すぐに1人分のチケットを予約しました。
そして、電車を降りてからのトンネルまでは車で30分ほど掛かるようなので、レンタカーも予約しました。
新幹線はさすがに満席にはなっていないと思いましたので、駅についてからチケットを購入しました。

誰かの都合に合わせることはないので、天気が良い日を狙って行動します。
私がどこかに行く日は必ず晴れています!

いざ清津狭渓谷トンネルへ

清津狭渓谷トンネルに入坑する前に、
「清津百貨 KIYOTSU CAFE」で立ち寄り、昼食を。
とてもお洒落なカフェで、カレーを注文しました。
ゆっくりとした贅沢な時間が流れました。

ゆっくりとした時間が流れる歩道を抜けて、目的地の清津狭渓谷トンネルに向かいました。
Instagramでも有名なスポットということもあり、多くの人が訪れていました。
(写真はプライバシー保護の観点から人の姿を消しております)

渓谷トンネル内は、事前に調べていた通り、自然の「5大要素」、木、土、金属、火、水を用いて「人間と自然の関係を改めて考える」ような表現が施されていたような気がします。
(分からなくても「知ろう」とすること、実際に「触れる」ことが大事だと思います!)

圧巻のキレイさでした。
自然の圧倒的な美しさに加え、アート・芸術の要素が加わることで、
「来てよかった」と心から思えるスポットでした。

無意味とも思ってしまうこともあるあり余る一人の時間の中で、
人間らしい意義深い時間を過ごすことができました。

「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2022」も触れてみる

清津狭渓谷トンネルがアート作品に生まれ変わったきっかけとなりました「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2022」がちょうど開催しておりましたので、少し作品に触れてきました。

作品名「たくさんの失われた窓のために」内海昭子氏

部屋の窓から見える風景は「私の風景」となる。窓から見える風景を通して外に広がる妻有の風景をもう一度発見するための窓。揺れるカーテンは風を映す。作家は妻有を来訪した際、妻有の自然に圧倒されたという。自然を邪魔することなく慎ましく咲く花のような作品を目指した。たなびくカーテンは、作品を訪れる人びとの心に陽の光や里山の風のそよぎを届けた。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2022ホームページより

作品の解説の通りに、窓から見える妻有の風景を発見できた気がしました。
時間が過ぎることを忘れることができるくらい、静かで、雄大な風景が広がっていました。

自然に芸術・アートの要素を加えることで、さらに意義深い空間が広がります。
それを素直に美しい、素晴らしいと感じたいと思います。
このような時間を少しでも増やすことは、私にとっての理想的な生活だと思うのです。
人生に意義を与えてくれるものだと思うのです。

一人で、孤独な人生にも、豊かな時間を。
これからも。


【文中の参考・引用文献】
・日本三大峡谷清津狭ホームページ
・大地の芸術祭越後妻有2022ホームページ
・清津百貨KIYOTSU CAFE

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プロフィール

学生時代に想い描いていた人生は、自分の社会的な存在価値を表してくれるような❝しっかりとした❞会社に就職して、20代で結婚し、30代で家族に恵まれ、子育てや家庭生活と仕事を両立させる、そのような「理想的」な生活。 しかしながら、現実は、「理想」とは程遠く、新卒者として臨んだ就職活動に❝失敗❞し、非正規社員として社会人をスタートし、学生時代からのパートナーと別れ、友人たちとも疎遠となり、20代後半から「孤立」し始め、30代はずっと「孤独」な生活を過ごすことに。 「孤独」の痛さや、孤独の中で毎日働く「虚しさ」を10年以上経験する。 40歳で「前向きに」生きることを決意し、カウンセラーの資格を活かし、自分と同じような「孤独」と「仕事」に不安と悩み、虚しさを抱えた方々に、ナラティブ・アプローチ(『語り』を通じた問題解決)を用いて、寄り添う活動を行っている。

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